わんないと

One-Night

 


鍋島裕司

みやび

高橋えり

黒服

 

 

 

裕司:ん・・・んん・・・。

裕司:あ、朝か。(欠伸)

裕司:・・・あれ?此処、何処だ?

裕司:え?あれ??ラ・・・ラブホテル!?

裕司:ふ、服!!服は何処だ!?

裕司:ってか相手は誰なんだ!?

裕司:・・・・・。服と鞄は・・・あった。誰かの服も・・・。

裕司:

裕司:

裕司:

 :【間を開ける】

えり:

えり:

えり:

えり:(大笑い)

えり:じゃ、じゃあ・・・何??

えり:誰かとラブホに泊って、その誰かがわかんなくて・・・

えり:女性物の服が脱ぎ散らかってたってこと!?(大笑い)

 


裕司:・・・そんなに笑うなっての。

 


えり:いやいや、これ以上笑えるネタがあるなら寄こしなさいよ!!

えり:でも、相手は裸で帰ったってこと??

 


裕司:いや、何かの事件に巻き込まれた・・・とかだったら怖いだろ。

 


えり:だったら、何でアンタは無傷でベッドに寝てるのよ。

 


裕司:それもそうか・・・。

 


えり:・・・もしかしてさ。

えり:コスプレのデリヘルでも呼んでたんじゃない?

 


裕司:コスプレしたまま帰ったってことか?

 


えり:え?服を持ち帰れるオプションとかないの?

 


裕司:・・・あったとしても、下着とかだろ普通。

 


えり:いや、私がその普通を知ってるわけないじゃん。

 


裕司:あー・・・本当に思い出せない・・・。

裕司:なぁ、お前らが帰った後、どうして一緒に送ってくれないんだよぉ

 


えり:は?送り狼をまくのに必死な私にアンタの世話までできるわけないでしょ。

 


裕司:いや、だとしても!!

 


えり:くどい!

えり:・・・一応、昨日の女の子たちには連絡いれてみたけど、

えり:皆すぐ帰ったらしいから、お持ち帰りしたわけじゃあないからね。

えり:だったら、酔った勢いでデリヘル呼んだって説が一番濃厚でしょうが。

 


裕司:でも、鞄の中身は無事だったんだぞ?

 


えり:・・・鞄の中、見てみたら?

 


裕司:鞄の中?

 


えり:何か証拠が残ってるかもよ。

 


裕司:うーん・・・。

裕司:鞄っていっても財布くらいしか入ってないし・・・

裕司:財布の中だって金が抜き取られているわけじゃあ・・・。あ。

 


えり:・・・何かあったの?

 


裕司:なんかカードがあった・・・。

裕司:・・・One-Nifht?

 


えり:ほら、やっぱりデリヘルだったじゃん。

 


裕司:・・・いや、でもさ。

裕司:財布の中、減ってないんだぞ?

裕司:じゃあ、デリヘル代はどうしたんだよって話。

 


えり:・・・カード使ったとか?

 


裕司:カード持ってねぇし。

 


えり:・・・あー。悩んでも仕方ないよ。

えり:裕司、もう一回行ってみたら?

 


裕司:はぁ!?

 


えり:ここで二人で考えてもわからないじゃん。

えり:だったら、確かめたほうがいいって。

 


裕司:・・・そう・・・だな。

 


えり:じゃ、私は今日も合コンあるから。またねー。

 


裕司:あっ!ちょっと待てよ!!えり!!

裕司:・・・行っちまった。ったく他人事だと思って・・・。

裕司:

裕司:

裕司:

 :【間を開ける】

黒服:

黒服:

黒服:

黒服:(電話)はい、One-Nifhtです。

 


裕司:・・・あ。もしもし。

 


黒服:ご予約でしょうか?

 


裕司:えっと・・・はい。

 


黒服:キャストは女性、男性。どちらがよろしいですか?

 


裕司:あ、あの!!

 


黒服:・・・はい?

 


裕司:ここって・・・デリバリーヘルスなんですか!?

 


黒服:・・・えぇ。そうですが・・・どうしました?

 


裕司:キャストが男性と女性って・・・

 


黒服:あー・・・大変失礼しました。

黒服:当店は男性向けと女性向け。あとは特殊な趣味の方にも対応していまして。

黒服:キャストは女性をむかわせてもいいですか?

 


裕司:あ・・・はい。

 


黒服:ご指名のキャストはいらっしゃいますか?

 


裕司:・・・実は・・・昨日ここに電話したかもしれなくて・・・。

 


黒服:・・・当店は会員制なので、ネットも記載していないんですよ。

黒服:なので、お客様が此処の電話番号を知っている時点でご利用された事のあるお客様だと思われます。

 


裕司:・・・昨日は酔っていて思い出せなくて・・・。

 


黒服:・・あぁ。左様でしたか。

黒服:ご説明が必要でしたら、一度事務所の受付まで来ていただいてもよろしいでしょうか?

 


裕司:え?あ・・・はい。

 


黒服:では失礼いたします。

 


裕司:え?道は!?もしもし!?もしもーし!!

裕司:・・・切れた。ったく・・・ネットにも書かれていない店をどうやって探せって言うんだよ・・。

裕司:・・・あ。あのカードに住所は・・・これか・・。

裕司:

裕司:

裕司:

 :【間を開ける】

黒服:

黒服:

黒服:

黒服:おや・・・お早いお着きですね。

 


裕司:・・・ようやく着いた・・・。

裕司:黒服さん・・・せめて場所を教えてくださいよ・・・。

 


黒服:はは。

黒服:申し訳ありません。

黒服:たしかに、酔ったお客様にご説明した私も馬鹿でしたが・・・。

黒服:まさか次の日に来るとは思いませんでした。

 


裕司:黒服さん?性格変わってない?

 


黒服:まぁ、私も相手を選ぶ接客をするのは良くないとは思います。

黒服:・・・ですが。正直同じ説明を同じお客様に言う私の事も考えてもらいたいものです。

 


裕司:・・・申し訳ないけど、もう一回説明してもらえませんか?

 


黒服:えぇ。もちろんです。

黒服:では、最初から・・・。

黒服:One-Nifhtは普通のデリバリーヘルス店とは少し違います。

黒服:当店でのキャストとのお楽しみの時間は一夜のみとなっています。

黒服:初めてのお客様にはホテル代のみいただいております。

黒服:今回のお客様の支払いは1万円とホテル代ですね。

 


裕司:・・・え?安くない?

 


黒服:ラブホテルの経営もしておりまして。

黒服:あー。あとキャストは昨日指名した人でいいですか?

 


裕司:は、はい・・・。

 


黒服:では、ホテルの部屋についたらお電話ください。

黒服:その時はお部屋の番号もお忘れなく。いってらっしゃいませ・・・。

黒服:

黒服:

黒服:

 :【間を開ける】

裕司:

裕司:

裕司:

裕司:さてと・・・電話もして暫くたったから・・・

裕司:もうそろそろ来るかな。

 


みやび:失礼します。

 


裕司:あ!!はい!!

 


みやび:開けてもらってもいいですか??

 


裕司:あ・・・ちょっとまっててください!!

裕司:・・・どうぞ!

 


みやび:ありがとうございます・・・。

 


裕司:・・・。

 


みやび:あの・・・どうかしました?

 


裕司;い、いや!!・・・何でもないです・・・。

 


みやび:では・・・初めまして。

みやび:みやびと言います。

 


裕司:えっと・・・はじめまして?

 


みやび:え?違いましたっけ?

 


裕司:えっと・・・昨日一緒にいた・・・らしいんですけど・・・。

 


みやび:ふふっ。それは多分間違いですよ。

みやび:だって私、今日初めて働くんですから。

 


裕司:そう・・なんだ・・・。

 


みやび:じゃあ・・・今日はよろしくお願いしますね・・。

 


裕司:あ、ああ・・・。

 


みやび:そんなに緊張されちゃいますと・・・私まで緊張しちゃいますね。

 


裕司:え!?あ、あぁ・・。。

 


みやび:では・・・シャワー。一緒にあびましょ?

みやび:夜はまだこれからですから。

みやび:

みやび:

みやび:

 :【間を開ける】

裕司:

裕司:

裕司:

裕司:・・・(溜息)

裕司:なんか・・・初めてって感じがしない。

 


みやび:ふふっ。

みやび:まだそんな事言ってるんですか?

 


裕司:いや、昨日も同じような感じで遊んだ気がするんだよ。

 


みやび:もぉ。

みやび:他の女の事思い出してたんですか?

 


裕司:え?いやだからちがーー

 


みやび:もう、忘れちゃってください。

みやび:私だけ・・・私だけを思い出してください。

 


裕司:・・・あぁ。

 


みやび:じゃあ・・・ゆびきり。

 


裕司:え?ゆびきり?

 


みやび:はい。ゆびきり。

 


裕司:じゃあ・・・はい。

 


みやび:(指切りげんまんの歌)

みやび:ゆびきった。

 


裕司:・・・。なぁ。やっぱり・・・

 


みやび:さーてっと。

みやび:ねぇお兄さん。もう一回やらない?

 


裕司:え?

 


みやび:もう回復したんじゃないかしら。

みやび:夜が明けるまで楽しましょ。

 


裕司:え、ちょっとまーーー

 


みやび:ふふ・・・待てない。

みやび:

みやび:

みやび:

 :【間を開ける】

裕司:

裕司:

裕司:

裕司:うぅ・・・もう。朝?

 


みやび:ううん。まだ夜。

みやび:ふふ・・・。

 


裕司:・・・みやびさん。

裕司:まだしたりないんですか?

 


みやび:えー?

みやび:だってもう夜が終わっちゃうし・・・。

 


裕司:甘えてくれるのは嬉しいですけど・・・。

裕司:ちょっとシャワーあびてきますね。

 


みやび:じゃあ、待ってる。

 


裕司:え?あ・・・はい。

 


みやび:朝日が・・・もうそろそろ見えるかなって。

 


裕司:・・そう・・・ですか。

 


みやび:うん。

みやび:だから、いってらっしゃい。

 


裕司:は・・・はい。

 


みやび:・・・ふぅ。

 


裕司:・・・何だったんだろう。

裕司:みやびさん。急に寂しそうな顔をしてた気がする・・・。

裕司:・・・今日はあとは添い寝してもらって帰るとするかな・・・。

 


 :【数秒間をあける】

裕司:お待たせしました!!

裕司:・・・あれ?みやび・・・さん?

裕司:どこ行ったんだ・・・?みやびさーん!!

裕司:帰ったのかな・・・。あ。みやびさんの・・・服?

裕司:

裕司:

裕司:

 :【間を開ける】

えり:

えり:

えり:

えり:・・・それで、デリヘル嬢の服だけが残っていたと。

 


裕司:・・・あぁ。

裕司:なぁ、これどういう事なんだ??

 


えり:私が知りたいわよ。

 


裕司:・・・だよなぁ・・。

 


えり:うーん。ねぇ。その店って男女ともにできるんだっけ?

 


裕司:え?あぁ電話でそう言ってたけど・・・

裕司:まさか!!

 


えり:だって私も気になるんだもん。

えり:あと、私が頼むのはそのみやびって人ね。

えり:男に金払ってしたいとは思わないけど、女同士ってちょっと興味はあるからさ。

 


裕司:・・・そういうもんなのか?

 


えり:美人だったんでしょ?

 


裕司:いやまぁ・・・美人だったけど。

 


えり:だったらいいじゃん。

えり:じゃあ電話番号教えて。

 


裕司:・・・わかったよ。ほら。

 


えり:ありがと。

えり:さてっと・・・あ、もしもし?初めてなんですけど、いいですか??

 


裕司:・・・どうなっても知らないからな。

裕司:

裕司:

裕司:

 :【間を開ける】

えり:

えり:

えり:

えり:さてと・・・。

えり:・・・あー。なんか緊張してきた。

えり:ノリで電話しちゃったけど・・・ホラーの実証みたいなもんだけど・・・。

えり:・・・あ、普通に話だけでもいいのか。

 


みやび:失礼します。

 


えり:は、はい!!

 


みやび:・・・開けてもらってもよろしいでしょうか?

 


えり:わ・・・わかりました。

 


みやび:・・・あら。初めまして。みやびです。

 


えり:あ。キレイ・・・。

 


みやび:ふふ・・・。ありがとうございます。

みやび:アナタもキレイですよ。

 


えり:あり・・・がと。

 


みやび:じゃあ、入ってもいいですか?

 


えり:ど、どうぞ。

 


みやび:えっと・・・何から始めようかしら・・・。

 


えり:きょ、今日は・・・話だけでもいいですか?

 


みやび:え?

 


えり:いやー・・・。ちょっと興味があっただけだったんですけどね。

えり:あはは・・・緊張しちゃって。

 


みやび:ふふ。そうでしたか。

みやび:いいですよ。どんな話をしましょうか。

 


えり:んー。じゃあ、この仕事をしたきっかけとか。

 


みやび:唐突ですね。

みやび:うーん。気が付いたらやってた・・・って駄目ですかね。

 


えり:まぁ私もお金ない時とかやろうかなーっとか思っちゃうことあるけどさ。

えり:流石に思いとどまってるところだけどね。

 


みやび:そうなんですか?

 


えり:あー。敬語はいいよ。ため口で。

 


みやび:・・・えぇ。わかったわ。

みやび:

みやび:

みやび:

 :【間を開ける】

えり:

えり:

えり:

えり:・・・それでね。

えり:ふかしたジャガイモに塩辛とバターが合うってソイツが言うのよ。

 


みやび:ふふ。

みやび:それは本当に合うのかしら。

 


えり:いや、それが意外にも合うんだって!!

えり:・・・あー。もうこんな時間か・・・。

えり:なんかお酒の飲まずに話たの久しぶりかも。

 


みやび:夜明けも近いわね。

 


えり:え?あぁ・・・そうね。

 


みやび:今日はとっても楽しかったわ。

みやび:ありがとう。

 


えり:じゃあ今度はお酒を飲みながら話そうよ。

 


みやび:そうね。また今度。

 


えり:・・・あー。日が昇っちゃうよ。

えり:みやびはいつもこんな時間まで働いているわけ?

 


みやび:・・・あ・・・あ・・・・。

 


えり:みやび?・・・!?

 


みやび:あ・・・あ・・・あぁ・・・。

 


えり:な・・・・なんなの・・・なんなのよぉ!!!

えり:

えり:

えり:

 :【間を開ける】

裕司:

裕司:

裕司:

裕司:えり!?

 


えり:・・・あ。裕司。

 


裕司:わりぃ遅くなった・・・。

裕司:てか何でドアの外にいるんだよ・・・。

 


えり:・・・怖くて。

 


裕司:怖い・・・?

裕司:・・・中で何があったんだ?

 


えり:・・・みやびが・・・溶けたの。

えり:まるで氷が溶けるみたいに・・・。

 


裕司:溶ける・・・?

裕司:お前・・・大丈夫か?

 


えり:大丈夫なわけないでしょ!!!

えり:人が急に溶けるなんて・・・訳わかんない!!

 


裕司:お、落ち着けって・・・。

裕司:・・・なぁ。服は溶けたのか?

 


えり:わかんない・・・

 


裕司:大事な事なんだ・・・

裕司:服は溶けてなかったのか??

 


えり:・・・とけて・・・ない。

 


裕司:・・・そういう事だったのか・・・。

裕司:なぁ、俺はこれから事務所にむかうけど・・・。

裕司:えり、一人で大丈夫か?

 


えり:ううん・・・。私も行く。

えり:今は誰かと一緒にいないとおかしくなっちゃう。

 


裕司:じゃあ・・・行くぞ。

裕司:

裕司:

裕司:

 :【間を開ける】

黒服:

黒服:

黒服:

黒服:あぁ、いらっしゃいませ。

黒服:今日は、電話もかけてくれないんですね。

 


裕司:・・・説明しろ。

 


黒服:はい?なんのことですか?

 


裕司:とぼけるな!!

裕司:あの女の事だよ!!

 


黒服:・・・さて、何のことですかね。

黒服:彼女に対してのクレームでしょうか。

 


裕司:・・・まだとぼけるのか。

 


えり:ねぇ・・・。

えり:どうして人が溶けるの?

 


黒服:・・・これはこれは。

黒服:高橋様。アナタは見たのですか。

 


えり:ふざけないで教えてよ・・・。

 


黒服:・・・わかりました。

黒服:高橋様のご質問にお答えしましょう。

黒服:ですが・・・。どうか皆さま。この事はご内密にお願いいたします。

 


裕司:内密って・・・どういうことだよ。

 


黒服:ふふ・・。

黒服:それは見ればわかりますよ。

黒服:この世紀の大発見を。

黒服:あ、ちょっとお待ちを・・・。

黒服:・・・私だ。彼女を出してくれ。

 


裕司:・・・彼女?

 


えり:・・・まさか。

 


黒服:えぇ。彼女ですよ。

黒服:もう少しお待ちを。

 


えり:だって・・・ついさっき私の目の前で溶けて・・・

 


みやび:はい。お待たせしました。

 


えり:!?

えり:・・・なんで・・・!!

 


裕司:えり・・・どういうことだよ・・・。

裕司:みやびさんは溶けて消えたって言ってたじゃあないか!!

 


えり:私だって知りたいわよ!!

えり:え・・・?え??どういう事・・・

 


みやび:初めまして皆さま。みやびといいます。

 


裕司:・・・は?

 


えり:・・・はじめ・・まして・・?

 


みやび:あれ?・・・違いましたっけ・・・?

 


黒服:いいえ。初めましてですよみやびさん。

黒服:・・・アナタは。ね。

 


みやび:あぁ・・・。そうでしたか。

 


裕司:あー・・・。だめだ。意味がわかんねぇ・・・。

 


えり:・・・この人は・・・私たちのあったみやびとは違うって・・・こと?

 


黒服:・・・ふふ

黒服:では。高橋様。鍋島様。どうぞこちらへ。

 


裕司:・・・わかった。

 


えり:ね、ねぇ・・・裕司。本当に行くの?

 


裕司:・・・行かないと。わかんないだろ・・。

裕司:

裕司:

裕司:

 :【間を開ける】

えり:

えり:

えり:

えり:・・・ここは?

 


黒服:One-Nifhtの秘密の部屋です。

黒服:ところで・・・皆さまは世界三大美人ってご存じですか?

 


裕司:楊貴妃クレオパトラ小野小町だろ?

 


黒服:えぇ。他にも世界には多くの語り継がれる美男美女がいますね・・・。

黒服:・・・もしも。そんな美男美女と一夜をともにできるとしたら・・・どう思います?

 


裕司:どう・・思うって・・。

 


えり:そんな事はできないに決まってるでしょ。

 


黒服:でーすーが・・・。可能だとしたら?

黒服:One-Nifhtは・・・そんな夢のあるお店なんですよ。

黒服:その人のDNAさえあれば・・・ね。

 


えり:そんな・・・クローン・・・?

 


裕司:ちょっとまて・・・。人のクローンを作るのは違法じゃ・・・。

 


黒服:たしかに。今はそうかもしれません。

黒服:ですが、培養液で保存しているこの子たちを・・・。

黒服:はたしてクローンと。ましてや人間と呼べるのでしょうか?

 


みやび:そうですね・・・。

みやび:呼べないんじゃあないでしょうか。

みやび:だって・・・私たちは・・・人間じゃあないから。

 


黒服:そうですね・・・。

黒服:現在の最新の技術でこの子たちの寿命は6時間といったところでしょうか。

黒服:日の光を浴びてしまえば、一瞬で消えてしまう儚い存在。

 


裕司:じゃあ・・・どうして作るんだよ!!

裕司:そっちのほうが可愛そうだと思わないのかよ!?

 


黒服:・・・人間の寿命と同じくらい外に出せる存在を作るには、

黒服:資金が必要なのです。

黒服:だからこうやって資金集めを・・・

 


裕司:そうじゃあねぇ!!

裕司:作る事をやめれば済むじゃあねぇか!!

 


黒服:・・・何故?

 


裕司:は?

 


黒服:何故人間を作るのを辞めなければならないんでしょう?

黒服:鍋島様。アナタ、この実験が成功すれば、不老不死も夢じゃあないんですよ?

黒服:記憶をそのままに残せる代用品が。

黒服:永遠の命のヒントがすぐ目の前に存在してるんですよ?

黒服:アナタは・・・死ぬのが怖くないのですか??

 


裕司:・・・そんなん知るか。

裕司:人間が入っちゃいけない領域ってのがあるだろうが・・・。

 


黒服:(溜息)

黒服:思考を停止しているようですね。

黒服:高橋様。

 


えり:・・・え?

 


黒服:アナタは欲しくないですか?

黒服:永遠の若さ。

 


えり:・・・それは・・・。

 


黒服:・・・そうですか。

黒服:私も興奮してしまい、大変申し訳ございませんでした。

黒服:何年もやっているというのに、ここまで来れたのはアナタ方が初めてだったもので・・。

黒服:・・・どうぞお引き取りを。みやび。

 


みやび:はい。

 


黒服:お二人をお連れして。

 


みやび:かしこまりました。

 


裕司:・・・なぁみやびさん。

 


みやび:はい。なんでしょうか?

 


裕司:・・・。アンタは怖くないのかよ。

 


みやび:言っている意味がわかりませんが・・。

みやび:多分。アナタ達だって、死ぬのは怖いでしょ?

 


裕司:・・・それは。

 


みやび:でも、死ぬってどういう意味かわからないじゃあないですか。

みやび:死ぬって知識は知っていても、死んだことはない。そうでしょ?

 


えり:だから・・・怖くないの?

 


みやび:いいえ。怖いですよ。

 


えり:ならどうして!!

えり:・・・どうしてそんなに笑顔でいられるの・・・。

 


みやび:それは・・・。

みやび:生きているのが楽しいから。

 


裕司:・・・みやびさん。ごめん。

裕司:俺たち、アンタのこと何もわかっていなかった。

 


みやび:・・・。いいんですよ。

みやび:気にしないで。

 


えり:・・・裕司。ごめん。

えり:私、もう耐えられない・・・。

 


裕司:あぁ。行こう。

 


みやび:あ、鍋島様。

みやび:・・・次は、酔わずにいらしてくださいね。

 


裕司:・・・え?

 


みやび:ふふ。

みやび:それじゃあ。さようなら。

みやび:

みやび:

みやび:

 :【間を開ける】

黒服:

黒服:

黒服:

黒服:・・・ふう。

黒服:やっぱり、分かってもらえないものだね。

 


みやび:えぇ。そうですね。

 


黒服:多分。あの二人、警察に連絡すると思う。

 


みやび:そうですね。

 


黒服:そろそろ潮時だと思っていたけど、

黒服:さぁて・・どこに行こうかな。

 


みやび:そう・・・ですね。

 


黒服:・・・時間か。

黒服:また次の君に話を聞いてもらうとするよ。

 


みやび:・・・また・・・・

 


黒服:さて・・・。

黒服:そろそろチームの誰かが墓荒しから帰ってくるはずだから連絡をっと・・・。

黒服:・・・・・・・ん?

黒服:また?・・・・また・・・・ね?

黒服:ふふ。まさかね。記憶の移植が成功したとは思えないな。

黒服:・・・さて。次こそ成功してくれよ・・・。みやび。