【声劇】東西王子と死んだ姫【3;1;1】

【タイトル】

 


東西王子と死んだ姫

 

 

 

【配役】2;1;1

 


東;アマノ王子(24)

      ・東の国から姫の噂を聞きつけて海を渡り、大陸を渡ってきた王子。

         女性のような綺麗な黒髪と容姿をしている。

         

 


西;ルーカス王子(23)

       ・西の国から姫の噂を聞きつけて砂漠を渡ってやってきた白馬の王子。

          美しいブロンドの髪に高い鼻を持つ美形。

 


姫;エルザ姫(17)

       ・ライオンハート国の姫。世界一の美しさをもっていると世界中で噂される姫。

          まだまだお転婆で、悪戯が大好き。

 


ナ;ナレーション

●;姫のお付き

 

 

 

 

 

 

本編

 

 

 

ナ;世界で一番小さな国で、世界で一番美しいと言われる国、ライオンハート国。

       この国にはとてもとても美しい姫様、エルザ・ライオンハートがいると世界中で噂になっておりました。

 

       そして、そんな姫様の噂を聞きつけ、東と西から二人の王子がやってきました。

 

 

 

東;姫!!姫様!!エルザ姫はおいでか!?

 


姫;あら。東の国の…アマノ王子?

 


東;えぇ。名前を覚えて頂き、光栄でございます。

       エルザ様…今日もお美しい…。

 


姫;え?あぁ…どうもありがとうございます。

       それで、本日はどのようなご用件でしょうか?

 


東;えぇ!!本日は20回目のプロポーズに!!

 


姫;あー!!ごめんなさい!!私、これから用がありまして!!

 


東;あ、姫!?お待ちください!!

       …またダメでしたか。それにしても…今日も美しかったなぁ…。

 

 

 

姫;うーん…。思わず逃げてしまったわ…。

       私のことを思ってくれるのは、とても嬉しいわ。

       なにせ、海を渡って大陸を横断したかただから、悪いようにはできないわ。

 


       あの美しい黒髪に女性でもうっとりするようなお顔立ち。

       求婚をされるのはとても嬉しいことですが……。

 

 

 

西;姫!!エルザ姫!!ここにいらっしゃいましたか!!

 


姫;あぁ。噂をすればなんとやら…。

 


西;ほほぅ。私、ルーカスを思っていただけてましたか!!

       美しい姫に思われるとは…とても嬉しい限りですね。

 


姫;あぁ、いえ…。ふと思ってしまっただけですよ。

 


西;姫様が私のことを少しでも…頭の片隅だけでも思ってくださるということは、

       これは幸せなことでございます。

       では、姫様…。結婚しましょう。

 


姫;告白の仕方が雑すぎる!!

 


西;ハハハ!いいではありませんか!

       さぁ、砂漠を越えて、私の国へ行きましょう!!

 


姫;す、すみません!!用事がありまして!!

 


西;あ、姫さま!!

       うーん。プロポーズの言葉を考えておくべきだったか。

 

 

 

姫;城に居ても、城下に行っても王子たちが求婚してくる!!

 


●;あ、姫様おかえりなさい。

 


姫;あ、ただいま。

 


●;また王子たちに求婚されてたんですか?

 


姫;そうなのよぉ……。

        もぉ!!あの二人かっこよすぎ!!

 


●;どっちのプロポーズを受けるかで、まだ悩んでるんですねー。

 


姫;そりゃそうでしょ!?

       東の国のアマノ王子は、あのまま女装させても美女って言われるような人だし!!

       西の国のルーカス王子は、ちょっと強引だけど、背景にバラが飛んでるような感覚になるのよ!!

       あー…選べない!!どっちもかっこよすぎてえーらーべーなーい!!

 


●;(ため息)それじゃあ、求婚してくれる王子を一人にすればいいんですね?

 


姫;え?そんなことできるの??

 


●;姫様が選ぶわけじゃなくて、姫さまに選んでもらえる人を減らすは可能ですよ。

 


姫;なるほど!!あ、お父様に選ばすのはダメよ!!

       絶対友好国じゃない北の国とかと政略結婚させるから!!

 


●;いや、それが普通なんですがね…。

       いいですか。二人の王子が姫さまをどれだけ思っているか、その思いの強さで選ばれるのはいかがです?

 


姫;なるほど!お付きにしては良いこと言うわね!!

       じゃあ、王子たちにこう言いなさい!!

 


        「エルザ姫は重い病にかかってしまって死んだ」って!!

 


●;ベタですな。

 


姫;ベタでも何でもいいわよ!!

      真っ先に私の所にきた王子のプロポーズをうけるわ!!

 

 

 

ナ;ということで、姫のお付きは王子達に「姫さまは重い病気になってしんでしまった」と

       告げました。

 


西;(ため息)なんと言うことだ…。

        エルザ姫が…エルザ姫が…!!私の思いが強すぎて死んでしまった!!

 


東;(ため息)なんてことでしょう…。

       エルザ姫が私の求愛の矢が心の臓に刺さってしまって死んでしまうとは…。

 


●;あ、こいつら人の話聞いてないな。

       いいですか、姫様は死んでしまったのです。だからお国に帰るか、姫さまのところに…。

 


東;何を言っているのですか?

 


西;そうだな、意味がわからん。

 


●;へ?

 


東;我ら東と西の国の王子たちは、姫様のことを愛していた。

 


西;姫の愛していた国を…ライオンハート国をさらに平和にする義務がある。

 


東;東の国の王子;アマノは。

 


西;西の国の王子;ルーカスは。

 


東;この国をもっと素晴らしくするために

 


西;この国に留まり、民の平和を守り続ける!!

 


●;などとおっしゃっておりいます。

 


姫;なぁぁぁにぃぃ!?

       ちょっとちょっとちょおおおっと!!どう言うことよ!!

 


東;おぉ姫!!生き返りましたか!!

 


西;それは良かった良かった…。

 


姫;良かったじゃなくて……なんで誰も国に帰ったりしないのよ!!

       私、死んだことになってたのよ!?

 


東;それはですね…姫。

 


西;我々は、姫が死んだとしても、姫のことを愛しているからですよ。

 


姫;うぐっ…。

 


西;さぁエルザ姫。

 


東;東と西、どちらの求婚を選んでくれますか?

 

 

 

ナ;こうして、ライオンハート国の平和はずっと続きましたとさ。

       ちなみに、エルザ姫がどちらの王子を選んだのか…。

       どちらを選んだとしても、王国はずっと平和でありましたとさ…。

       めでたしめでたし。