優雅なる貴族達の放課後

【優雅なる貴族達の放課後】

 

 

 

【配役】1;2

富;富子クリスティーヌヴァーゲンザイル

ヴァーゲンザイル家のご令嬢。洋風お嬢様

 


雅;東雲 雅(しののめ みやび)

東雲家のご令嬢。和風お嬢様

 


老;佐藤さん

ローレンツ学園専用の執事。

 

 

 

 


【本編】

 


富;聖ローレンツ学園。ここは次世代のお嬢様が通うエリート校。

        そんなお嬢達は今日も優雅なる放課後を過ごしていた。

 


雅;佐藤!!佐藤はいる!?

 


老;はい…えーっと雅様ですな。

       何かご入り用で?

 


雅;妾!!タピオカが飲みたいのじゃ!!

 


老;タピ…オカ?ですかな?

 


雅;そうなのじゃ。タピオカなる優雅な飲み物を食したいのじゃ。

 


老;なるほど…かしこまりました。

        タピオカなる物を探してまいります。

 


雅;うむ。頼むぞ佐藤。

 


老;さてさて…タピオカですか。

       そんな飲み物、日本に存在するのでしょうか。

 


富;あら、佐藤……。御機嫌よう。

 


老;これはこれはヴァーゲンザイル様。今日はティータイムですかな?

 


富;そうなんだけど…。

       お紅茶のお茶菓子が無くて困ってるの。

       申し訳ないけど、スコーンを手に入れてもらえないかしら?

 


老;かしこまりました…。

       ではスコーンには何をお付けしましょうか?

 


富;そうねぇ…。

       じゃあ、おストロベリーとおブルベリーのジャムを。後は適当にお願い。

 


老;かしこまりました。

       さてさて…。タピオカにスコーン。あとはジャムですな。

       はて…。ジャムは何を用意するんでしたかな…?

       まぁ適当にとおっしゃっておりましたし…なんとかなるでしょう。

 


【間を開ける】約5秒

 


雅;佐藤!!遅いのじゃ!!早く!早く妾は所望した物を!!

 


老;かしこまりました。

       では…こちらです。

 


雅;こ…これがタピオカ…!!

        なんか…ジャムみたいじゃな。

 


老;はい。ストローはこちらをお使いくださいませ。

 


雅;ん?随分と太いのじゃな。

       そうか。いちごの果肉があるから太めに作っておるのか!!

        これがタピオカ!!

 


老;では私は失礼いたします。

        さて。つぎはヴァーゲンザイル様のところですな。

 


富;佐藤…持ってきてくれた?

 


老;はい。こちらでございます。

 


富;えーっと…。なにこれ?

 


老;はい。スコーンとそれにつける物でございます。

 


富;なんか…丸いわね。

        ジャムはどうしたのかしら?

 


老;ジャム…?

 


富;まぁいいわ…いただくわ…。

        なんというか…。冷たいミルクティーに入れたら美味しそうな食感ね。

 


老;でしたらこちらをどうぞ。

 


富;ストロー?

       なるほどね。これで飲みやすくなったわ。

       佐藤…ありがとう。

 


老;恐縮でございます。

 


雅;とーみーこー!!

 


富;あら、雅(みやび)…。御機嫌よう。

 


雅;なのじゃー。

       見るのじゃ!!タピオカ!!

 


富;あら…美味しそうなジャムね。

 


雅;そうじゃろ??

        このストローで…するるっとな!!

 


富;へぇ…。

       よかったらこのミルクティーと交換しない?

 


雅;い、いやじゃ!!

 


富;私…いま物凄くそのジャムが欲しいのよねー…。

       よかったら…交換しない?

 


雅;お…おお…。わかったのじゃ。

 


富;それと…佐藤。

 


老;はい。なんでしょうか?

 


富;……次オーダーをミスしたら…わかってるわね?

 


老;…失礼いたしました。

 


富;さて…と。今日も優雅な放課後が楽しめるわ。

 

 

 

老;後日談になりますが、東雲様が欲しがっていたタピオカなる物は

        ミルクテーではなく、宇治抹茶ラテなるものでした。

       いやはや…。若人(わこうど)の飲み物は奇天烈(きてれつ)ですなぁ…ほっほっほ…。